「――――オレ、あんたが好きだ」


出来る限り真摯な表情を心がけて。(でも、オレの頭ン中は緊張しすぎて沸騰してた)

絶対に、目を逸らしたりなんかしないように。(正直なところ、自分が何を見てるかなんて考えてる余裕もなかったけど)


そうして言った俺の一世一代の告白に、あの人は一瞬だけ目を見張った。
心臓が、痛いほどに鳴っている。
掌にじんわりと汗が滲んできたが、オレは震えそうになるのを堪えるために殊更にぎゅっと握り締めた。
一瞬なのか、数分なのか、オレにとっては異様に長く感じる間を置いて、あの人が微笑う。


「オレも、好きだぜ?お前のこと」


その瞬間、オレは不覚にも泣きそうになった。
涙なんか絶対に流すまい、と、半ば意地、半ば必死に堪えてみせる。
一瞬だけ俯き、オレは再びあの人に顔を向ける。

「………ありがと、バネさん」

「おう!」と応えてくれる太陽みたいな笑顔を見ながら、オレはぼんやりと悟っていた。




――――オレがこの人を手に入れる可能性など、一片もないのだと……














Wondered  Days  〜あの、素晴らしき日々〜







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